
フクバカ ~働く男の昼休み~vol.1

はじめに
シゴトバカタログbyあどば編集部の服バカこと「M」と申します。
(服のサイズはXLですが…)
『フクバカ ~働く男の昼休み~』では、妻の手作り弁当でランチ代を浮かせながら、魂が反応する一着を求めて、街の服屋さんを巡る服バカ営業マンの気ままな昼休みのひとときを、ゆるっと楽しみながら、ちょっぴり真面目に綴っていきます。
直江津の昼休み、デニムジャケットに魂が反応する
打ち合わせを終え、今日は船見公園の駐車場でランチタイムだ。
妻が早起きして作ってくれた弁当を10分でたいらげる。
大好物の焼きそばが多めに入っていて思わず笑みがこぼれる。
ありがとう。うまかった。
腹が満たされたところで、私に与えられた昼休みは、あと40分。
この時間だけは、私の好きに使わせてもらう。
ここから近い「chemical combination」でディグタイムだ。

出迎えてくれたのは、オーナーの滝沢さん。
私にとっては、ファッションの“先生”みたいな存在だ。
コーディネートで迷ったときは、つい「これ、どう思います?」と聞いてしまう。
そんな素人の相談にも、いつも気さくに付き合ってくれる。

『本日は厳ついデニムジャケットをまとっていらっしゃる...』

MADNESS AGING M501 DENIM TRUCKER. M3 REGULAR / 25SS
長年着込まれたような色落ちとダメージ、そして使われているボタンひとつにまで、デザイナーのこだわりが垣間見える。
そして何より、着丈やや長めの、絶妙なボックスシルエット。
そのサイズバランスに、XL体型の“魂”が反応しかける。
『試着をしてはいけない…』
そう心の中で静かに唱えながら、しかし確かな決意をもって、「着てみる?」の一言が出る前に、完璧なスルーを決め込む。
――これがお小遣い制サラリーマンの防衛本能だ。
『危ないところだった……』
うっかり試着してしまえば最後、財布のヒモが緩むのは目に見えている。
今日の自分は一味ちがう。そんな予感とともに、人間としての小さな成長をかみしめるのだった。

Maison MIHARA YASUHIRO

Maison MIHARA YASUHIRO

MINEDENIM
「Maison MIHARA YASUHIRO」、「MINEDENIM」といった人気ブランドの新作が続々と入荷している模様。夏の準備にも余念がない。流石だ。

Maison MIHARA YASUHIRO

Maison MIHARA YASUHIRO
そして、いつも指をくわえて見ているだけの「Maison MIHARA YASUHIRO」のスニーカー。
その独特なデザインに、心惹かれるものの、手が出せないまま、ただ遠くから眺めるだけの月日が続いている。
MADNESSのデニムジャケットに心を奪われつつもタイムアップ。
後ろ髪を引かれる思いで車に戻る。
あっという間の40分。時間厳守が私の流儀だ。
この短いひとときこそが、私なりの昼休みの使い方――
魂を刺激する一着との出会いが、午後の仕事に向き合う私の原動力にもなる。
次の昼休みも、またこの街のどこかで。
どんな服と、どんな刺激に出会えるのか。
楽しみは、まだ尽きそうにない。
